日経新聞電子版に紹介記事が

 

4月だったか、(公財)発明協会の「全国発明表彰」で、意匠部門が100年目にして始めて「恩賜発明賞」を頂いたが、その時の想いを新聞社に伝えていたところ、今になって電子版で紹介してくれた。僕が意匠部門の審査委員長だった。

対象は、日立製作所高速鉄道のデザインで、その事情の解説を以下の記事に見ることが出来る。

 

日立の英高速鉄道、デザインに発明賞

文化往来
2019/8/1 6:00
 
英ロンドン・ノース・イースタン鉄道が運行する高速鉄道で5月、日立製作所の新型車両「AZUMA」が走り始めた。最高時速約200キロで、電化していない区間もディーゼルで走る。この車両を含む日立の「英国の社会インフラとなった高速鉄道車両システムの意匠」が、発明協会(東京・港)の2019年度全国発明表彰の最高賞である恩賜発明賞に選ばれた。

 

英国の高速鉄道を走り始めたAZUMA(日立製作所提供)

英国の高速鉄道を走り始めたAZUMA日立製作所提供)

表彰制度の創設100周年で、デザインが「発明」として最高賞に選ばれたのは初めて。選考委員会の意匠部会長の大倉冨美雄氏は「多くの制約のなかで車両の色や形を美しく仕上げるという狭義のデザインだけでなく、地域特性や環境などに配慮する広義のデザインによって英国社会に受け入れられた」と評価した。

英国では日本の新幹線と異なり、高速鉄道にも踏切や急カーブがある。運転席の視界の確保や衝突時に運転士を守る機能などさまざまな規格が設けられているが、部品の小型化や設置角度の工夫によって流線形でなめらかな外観を実現した。

さらに現地工場での生産性やメンテナンス性を高め、社会インフラとして英国の生活や文化に溶け込ませたという。大倉氏は「時代の構造変化に合わせ、デザインに求められることも大きく変わっている」と話している。

日立は2012年に英政府と契約を結び、17年10月にまずロンドンと西部ウェールズを結ぶ約300キロで高速鉄道の車両の供用を開始。今年、東海岸を北部スコットランドに向かう路線にAZUMAを投入した。

発明協会公益社団法人で、1904年に工業所有権保護協会として設立され、発明の奨励や知的財産制度の普及に取り組んでいる。歴代会長を松下幸之助氏や豊田章一郎氏が務めた。

(山川公生)