どうも少し違う建築家組織

【論・情報】(随時追記形式)


どうも少し違うようだ

―本日の建築家協会総会(支部)に出席して―



何が面白いのかよくわからないのに、義務的に集まるのが総会だ。
やった活動の報告、収支報告などと続く。
僕が理事長だった団体(JIDA)時の総会に比べて、日本建築家協会(JIA)関東甲信越支部は5倍近く大きく(全国的には10倍)、いろいろ大変とは思うが、聞いていてどうも面白くない。
途中から幹部だったこともある南條洋雄さんが隣に座ったのでこの話になった。


だいたい、やっていることが多すぎ、やっている会員はそれぞれ熱心なのだが、その割に個々のことが社会的な効果を見せていない。
建築職能は文化、歴史、芸術面から、社会、産業経済、技術、法制度、保険保障などにまで及ぶため、何を扱っても活動の一端となりやすい。そこで例えば、ミケランジェロ会とかワインクラブ(共に会員部会のうち)などまである。
僕が主催した「デザイン部会」もそうした活動のひとつだが、他に都市デザイン部会、住宅部会、メンテナンス部会、住宅再生部会、建築交流部会、学芸祭部会、建築家写真倶楽部とある。
それとは別に、総務委員会、設計業務環境改善委員会、広報委員会、交流委員会、建築相談委員会、保存問題委員会、顧客支援システム委員会、UIA大会支部準備委員会、アーキテクツ・ガーデン実行委員会、JIAトーク実行委員会、アーバントリップ実行委員会、建築セミナー実行委員会、学生デザイン実行委員会、大学院修士設計展実行委員会、建築家資格制度実務委員会、がある!
それだけではない。この支部は東京が、港地域会、千代田地域会、世田谷地域会などと区ごとに、あとはJIA神奈川、JIA千葉、JIA長野、JIA新潟などと各県別に23の地域に別れて地域活動をやっており、それぞれが以上のどこかとリンクしそうな活動をしている。
だから支部長以下、副支部長3人、幹事、副幹事2人、常任幹事5人、顧問2人、幹事21人、合計35人!と聞いただけで、もうこりゃとても駄目だと思いたくなるのだ。
その上で、これらの組織は支部なのだ。つまりこの上にどうなっているのかよくわからない本部がある!!

こうやって表記してみると、如何に地方の時代とは言え、また建築が地域に根差すものとは言え、改めてその複雑さに驚き、もう一度改めてうんざりする。


今、ここではどの委員会、部会組織がどこに近いかを比較はしない。
南條氏の言うとおり、それぞれが熱心で独立的に行動している以上、やめろとは言えない執行部側の事情もあるらしいが、いかんせん、もったいない話だ。
特に、建築・デザインがパラダイムの転換時点にあると言われるこの時期にあって、その主旨を大きく社会に訴えなければならないのに、個々では分かっているのに、そのことが全く会員間の共有認識になっていないことが問題だ。



次に、言いにくいことだけれど、どうも少なからぬ自発的出席者(たぶんその多くが上記の何らかの役員などをやっているのではないかと想定されてしまうのだが)が、自分が考えるイメージの建築家とは少なからず肌合いが違うのではないかと思えてきてしまったのだ。
敢えて言ってしまえば、理知的だが、組織企業の事務調整役担当といった人たちの持つ関心事で動いているような世界の人たち、とでもなろうか。そうならば当然、パラダイムの転換に合わせて作家たる建築家はどうする、なんて意識は無くてもよいことになり、議論の中心になりそうもないのだ。


多分このことが、そこにいても何となくつまらない、という印象を与えることになるのだろう。
特に今はUIA問題で揺れている。
揺れている、というのは誤解だという意見もあるだろう。なぜなら、この総会で来年(2011)開催のための集金方法について承認されてしまったからだ。


UIAというのは、JIA(といっても旧建築家協会組織から)が日本での大会開催が悲願だったという国際建築家連合(Union of International Architectsの略か)のことだが、周囲に聞いてみると、ほとんどの建築家はUIAの実体を知らない。
当然ながら盛り上がりがなく、開催のための運営費が大きく足りず、そこに、参加費用を強制徴用しようという主催関係者の思惑と一般会員の心情がぶつかっているのだ。