柳宗理、MASセミナー、大宅映子さん

【情報】


話題、三つ




柳宗理の「供花の会」があった。
時間を間違えて1時間もはやく行ってしまったために、新宿区本塩町8番地にある、前川建築事務所の地下にある柳工業デザイン研究室を覗かせてもらうことが出来た。3周を書籍や資料にかこまれ、一角のみ、ろくろがあるなどして作業スペース状になっている。
あの時代、1960年代か、工業デザインは粘土で形を創ることでその業務の核を押えることが出来た。その名残だ。
工業デザインは造形という使命を持つ限り、粘土の存在感も増すが、ITの席捲する現状を見ると改めてその存在意義の差を検討しなければならない。
柳宗理を知る人も少なくなったのではないか。
60年前に、(社)日本インダストリアルデザイナー協会を創る時に何やらごたごたあったらしい。栄久庵憲司さんからその辺の話を幾分か聞くことがあった。



MAS(ミナト・アーキテクツ・セミナー)のこと。
「日本のまちはなぜ美しくないのか」を基本テーマにシリーズを始めている。
バルセロナの話から直にこのテーマには入りにくいが、他山の石としては聞くべきものがある。
当JIA港地域会メンバーの鈴木理巳さんが自分の知見からこのまちを分析、判りやすい話で楽しく過ごせた。
一般の人に語る話は、ちょっとした街角の風情や、食べ物にまつわる話などから、ヨーロッパが日本人に与える郷愁のようなものを引き出すことで盛り上がる。
後でタパスでのワインパーティーとなり、名刺などを頂いてみると、在欧が長かったり、先週スペインから帰ってきたという方や、絵を描いている人など、やはり「文化的に親近性のある」方々が多かった。
ここから広げていくことが重要なのかも。
この前のセミナー担当者のドイツ在住、水島信先生から得たヨーロッパ文化としての「伝承」を、日本の現状に置き換えるのは容易なことではない。



大宅映子さんと語る夜
ジャーナリストらしい視点。この国はヴィジョンはなくてもいいんじゃないかとか、その一方での腹ふくるる思い。どうしていいかわからない現状。
日本は変えることは難しいが、若者は意外と判っている、という僕の意見に、「年寄りは死んだ方がいいのかも」との答え。
ここでの自己発見は、若者に「思うように言ってもいいんだよ」という環境を作ってあげる、ということだった。