ミッド・タウンで彷徨う Stray in Mid-Town Ropponghi.

やはり、このままでいいはずがない。―さまよう思い


Wandering in Mid-Town: it can't be as it's now.


ミッド・タウンで彷徨う(さまよう)ハメになった…


ひょんなことから五反田の集会場での建築資料社のセミナーに。
なんと工務店向けのもので、その気になって聞いてはみたが、簡単には人材を揃えられない工務店にとっては大変なことだ。
要するに設計士や工事現場にとっての、変えようもない状態をふまえ、個人では対応しきれないに話に終わっているのだ。その意味では我々と同類。ここでも組織化できる中堅以上、大手企業、大組織はやりくりできるが、基本的に中小零細いじめになっていることには変わりない。
帰りの送迎バスで、よく質問していた受講ただ一人の洒落た女性が隣に立っていたので話掛けたら、同じことを言っていた。多分、実家の工務店を任されることになったのだろう。一級建築士だった。


午後4時に、六本木で「ミッド・タウン・デザイン・タッチ」と称する講演会シリーズがあって、その一部を聞きに行った。どうも九州大学のエキステンション講義(カンファレンス)のように思えた。蛇足だが、ご存知無い方のために一言付記すると、九大は九州芸術工科大を併合したので、デザイン部門を持つようになったのだ。また東大についで、文科省のこの方面の補助金を貰っている(参考までに、名称は恐ろしく長いので最後に*印で)。


出掛けたのは、

「現代のダヴィンチを育成する―論理的思考に基づく芸術的感性による人材育成―」

という、とても気になるテーマのためだ(源田悦夫教授)。テーマの方向付けによっては、自分の問題意識と凄く近似する。
聞いてみると、人間の行為や自然界の驚異をデジタルデータに分解して、それを画像データに再構成して…という話。
これは好きな人はそうやって貰っていいが、僕には関心が無い。
医学への利用も確かにあろうが、これは僕がいうデザインではない。
おっと、そう言い切ってしまうのは反論があるかも知れない。学生作品と称するミミズのデータから生成する、まか不思議なコンピュータ動画造形などには、確かに人知の及ばぬところがあることはある。これは河口洋一郎の後継世界だろう。
これが何なのかは、今後の歴史が証明しよう。


こんなテーマと内容だからか、知る人はひとりもおらず…。
そんなことで気がぬけて予定もなくなり、お茶でも飲もうと、しばしミッド・タウンB1を彷徨うことに…。


しかし、あまり落ち着かない空間だなぁ、と、改めて思う。バブルの余韻のような大理石、蛇紋岩、ステインレス、テンパライト・ガラスがスケール・アウトに錯綜し冷たい。
英文を読むと「おまちかね」だっけ、間の抜けた集合食堂のようなところがあり、見たら、こんな所に魚がある。午後6時ちょっと前のためかガラガラ。音楽だけがうるさい。ビールと魚になる。親爺好みだなぁ。


向かい側に、TUTAYAか、本屋があり、入ってみる。
何か、勝間和代茂木健一郎の本しかないような印象だった。


茂木さんと言えば、まだこれほど売れていない時(と言ったら本人に失礼か。もし何らかの偶然でこのブログを見られたら、お詫び致します)、講演会でご一緒したことがある。奇しくも、森田教授が呼んで下さった九州大学でのシンポジュウムでだ。茂木さんは招待講演だったが、シンポジュウムではわれわれの中の一人に加わった。
最初、彼の話があまり理解できなかったが、途中で、「あッ、これは僕らが日々考えているデザインの発想と同じことじゃないか」と気がついて(彼流に言うと、セレンディピティか)、そのことを言った。
そのあと、僕はそうは思わなかったが彼は僕のあとを受けて、明らかに僕の言ったことに反論するように、「科学にわからないことは…無い」と、躊躇したかのようだが断言した。僕は、なかなか突っ張るね、と思った。
酒の席で、九大の教授が「彼はまだ若い」と言っていたのが印象的だった。


6時半過ぎても、そんなに人だかりがして来なかった。


(* 文部科学省科学技術振興調整費 新興分野人材育成九州大学先導的デジタルコンテンツ創成支援ユニット "Advanced Digital Content Design Unit" Funds for Natural Project Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology )