AR12 パラダイム・シフトの時代におけるコラボの役割

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パラダイム・シフトの時代における、コラボレーションの意味と役割



ちょっと気恥ずかしい話で、去る3月31日の自講演会の感想を含めたことだけれど、元JIA(前々日記録を参照)デザイン部会長の連(むらじ)さんの印象によると、僕の特徴は、

1・プロダクト・デザイナーであり、建築家であるということ。
2・海外を知っている。
3・専門家団体の理事長、大学教授の経験を持つ。

特に、1の両方に跨るというのがすごく、それに尽きる、とのこと。
建築家から見るとプロダクト・デザイナーというのはそれなりに難しく見え、両方が出来るということは凄いことなんだという一般認識でも有るかのようだ。
その特質を強調するためには、「建築家」というより「デザイナー」で通した方が絶対有利、というのが自ら建築家である彼のアドバイス
自分を外部から見ることはできないので、このような人の評価は、改めて自分の居る位置を見定めることには大いに参考になる。


それというのも最近のJIAのやっていることを見ていると、まったく暗い気持ちになり、事情を理解しようとすればするほど内部の混沌の中に引きずり込まれ、這い上がれなく気持ちに襲われてしまい、自分を見失いそうになるからだ。

昨日の土曜日は、次の企画を考えながら機関誌などを見ているうちに、まったく身動きが取れなくなっていた。ブログにも書いたコルビジェの話も底辺にある。
これを救ってくれたのが夜、会って飲んだ連さんだった。

もう一つのアドバイス
「大倉さんのやりかたのままでは、主体論型で、共感してくれる建築家・デザイナーの母数が圧倒的に小さいまま。若い人たちを味方につけるためには、自分を固めてしまわない方がいいのでは?」


それはともかく、次回の企画検討で会ったのだが、7月3日に行われた「新創業シリーズ第1回「近隣業種とのコラボレーション」での成果から見て、「垣根を越えたデザイン」を通して、地域性、環境の中でのコラボは必要、という結論になった、ということが確認された、というか、そういう雰囲気が醸成されたということだろう。

そうなると、次回は「どのようなコラボがあるのか」「体験上はどんなことになっているのか」「どういうやりかたがあるのか」「その将来メリットは?」というあたりがテーマだろう、と連さんは言う。


そこで出てきたのだけれど、「コラボが仕事としてメリットがなければ面白くもない」「メリットがあると単純に思いたい」「コラボって、得なんだ、と思えなければ何の意味もない」、という話の流れには目が覚めた。


その核にあるのがインターネットによるウェブ社会化だと、連さんは言う。
コラボがしやすい環境が整いつつある。これが領域を広げ、個人でもその気になれば、思った人、組織とのコラボが可能となり、仕事を組織化出来る。
その観点から、マルチ・デザイナーとして活躍してきた大倉さんは、人脈、経験からも太いパイプをお持ちのはずで、それを活かしてもらいたい、と言う。

立場上も考え方も、そう言われればそうですね、ということになる。自分がこのことを知らないわけではないし、確かにかなりの人脈の知友も得ているが、それらを活かしているとはとても言えないのも事実。



話はここから、若い人たちを味方につける、という方に発展。
つまり、分野のコラボとともに、世代間のコラボがあるということ。しかも年齢に関係なく同じ目線で。

ところが、日本ではこれが難しいとは、二人とも同意。
あの討論時に、コラボはお互いを尊重することだと浅井さんが言ったが、その通りだ。連さんは、この辺についてもっと語りたかったと言う。そこにはギブ・アンド・テイクへの相互理解が不可欠なのだ。

個人的なレベルでのコラボが成功するかどうかは、コラボしようとする相手を見定める能力とリスクを受け入れる能力があるかどうかだ。

このことを含め、もっと知りたいことは、今のパラダイム・シフト時代にあって、どうトータルにデザインしてゆくかだ。あるいはこういう時代に、デザイナーはどういう風に生きてゆくかだ。
その際に、ゼネコンや、大手設計事務所(ラージ・ファーム)、ハウス・メーカーなどは自前のシミュレーション能力(何をどうすればいいかをシステム化出来る能力)を持つことが出来るが、アトリエ派(好きで敢えて個人でやっている設計事務所のこと)はそうではない。
そうなるとコラボがアトリエ建築家・デザイナーの生き残れる最後の途となる。
この先、JIAがコラボの核となり情報提供してくれるようになれば、コラボは成功するが、さもなければアトリエ派は消える。


そこで2人は、はたと気がついた。
「そうだ、コア・メンバーに集まってもらおう」
コア・メンバーとは、あの討論会の後にアンケートをお願いし、最後にこの討論会シリーズのサポート・メンバーになって貰えるかどうかという質問をしたところ、何と48人中、9人もの人が名乗りを上げてくれたことを指す。

そこで、すぐに日程決定。8月5日(水)午後6時半に討論会と同じJIA館サロンで。

若い人を呼んで、IT時代の感想を突っ込んで聞こう。
これは最先端の話なのだ。