コープ・ヒンメルブラウとアイ・ウェイウェイ

【情報・論】


両者をぶつけてみれば…


コープ・ヒンメルブラウはウィーンから発し、今や世界的に事務所を持ち、活動をしている建築家集団。CEOのヴォルフ・D・ブリックスはウィーン応用芸術大学建築学院院長で、同大学の副学長。活動や資金の問題はないだろう。
得ている情報では、このグループはCG,CADを最大限に使った「恐ろしいような」建築を次々に発表している。
鉄骨を軸とした構造体はその重さから離れられず、空中に浮かぶようなことはできないと思いがちだが、それをやっている集団と言えるか。
ちなみに、ここで言う「COOP」とは、僕らが企画しているJIAデザイン部会の企画(この前のブログを参照)で言ってきたコラボレーションを、社会化した形体(協同事業)として言ったものではないかと思う。


一方、アイ・ウェイウェイは「鳥の巣」のデザイン協力者としてもつとに有名になった中国人だが、ソリッドの重さをいやがうえにも認識した作家。思考が幾何学的なところがあり、プライマリーな造形活動が発展し、建築設計まで手を伸ばしてきた。


この両者の展示が今行われている。
コープ・ヒンメルブラウは12月23日まで、東京オペラシティのNTTインターコミュニケーション・センターで。
アイ・ウェイウェイは、この8日まで(お勧め。見る人は急いで!)東京六本木ヒルズ森美術館で。
コープの展示は建築そのものではなく、説明つけがたい「人間と電子空間の融合」とでも言えそうな作品と、地域の集密度傾向をコンピュータで分析するのであるらしい展示のみ。

両者は現代建築とそれに近いアートでは双璧を成すと思う。
その傾向は、両者とも「恐ろしい」ような仕事ぶりにもかかわらず、全く違う。
コープは素材や土着性など一切無関係に、浮遊する、あるいはねじれた、更には傾斜のままといった造形に分け入ってゆく。その表現は、ダニエル・リーベスキンドとフランクO・ゲーリー、それに徹底的な三角形のとんがり造形のおばさん(一時的に失念。・・・したが思い出した。ザハ・ハディッド)などを全部集めて割ったような傾向。耳目を驚かすような空間造形なら何でも挑戦といった風情で、それなりに「恐ろしい」。
アイの方はそこにゆくと、非常に人間くさい。歴史性、民族性、アイロニーといった面が浮き彫りにされている。しかしその圧倒的なスケール感や存在感はただごとではない。


その意味では両者をぶつけてみる意味は十分あるだろう。
ここからの評はより熟考を要する。時間をかけて論じたい。

ただ一言。アイの仕事を見て、自分のやるべきことがわかった。