妹尾堅一郎先生と

【日記】


イノベーションを考察する立場とデザインの立場



JIDA(前々の当月23日ブログ参照)のシンポジウム「ジャパンデザインの行方」に参加された妹尾堅一郎先生(以下に紹介)に、終わってから挨拶。
その時の「言い足りなさ」のような気持ちから、後になってメールで心境を送る気になった。
専門分野間のコミュニケーションのためか、幾分硬い内容になったが、幸い妹尾先生のご了解を得たので、返信も含め以下に、多少の修正加筆の上、紹介する。
(せのお けんいちろう:NPO産学連携推進機構理事長、一橋大学大学院、九州大学放送大学客員教授、コンピュータ利用教育学会会長など)



On 2012/11/28, at 0:53, FumioOKURA wrote:

妹尾堅一郎先生

本日のシンポジウム、良かったです。
先生のお話は自分の問題意識を整理するのに役立ちました。元JIDA理事長としてもお礼申しあげます。
時間があれば、質問者として手を上げたかったのですが、最初の質問者のネガティブな意図がわかるような気がしたこともあってやめました。

これまでのデザイナーの問題には、その視覚表現専門性のゆえに言葉を知らない、あるいは言葉として問題を的確に把握できない、更に、専門分野の技術と知識の獲得に時間を取られすぎ、一般常識や他分野の知識を獲得できない、などがあります。
そこに加えてデザインの拡散(混沌)が起っているわけですから、いわば羅針盤が使えなくなってしまった船のようになってしまったところがあります。ネット・サービス時代の到来とは言っても、体が感じる五感に繋がって来ないと、職能から離れたものになってゆくのです。こうなると職能への自信喪失にも繋がってきます。


私自身もその例と言うべきか、例えば考えていることがこれからの日本にとって非常に重要な提案性があると信じ、書いた原稿などを大手出版社に見て貰っても採用されたことがありません(もちろん文才が無いのは承知ですが、出版社が「何かある」と思える(!)未完原稿の著者を育てるなどという余裕のない時代になっていることも承知です。欝憤の自己弁護)。
政治・経済にとどまらずメディアでさえも、デザインや文化から社会・経済・行政を見越したパラダイム・シフトへの「感性的理解力」が弱いということも感じています。そこには10年もイタリアに居てしまった自分の経験ということも影を落しているかも知れませんが。


そういう意味では先生の言葉の中に、デザイナーでないからこそ、と言ったら失礼かもしれませんが、教えてもらえたと言えそうな的確な分類や分析がありました。

シンポジウムの印象を兼ねて、書かせていただきました。
また話される場など、自分の考えを推敲出来る機会がありましたら参加させて頂きたくよろしくお願いいたします。

               

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大倉冨美雄 先生


ありがとうございます。
JIDAの元理事長、高名な先生にご丁寧なメールをいただき光栄です。
こちらこそ、門外漢であることを言い訳に勝手なことを申し上げましたが、多少なりともお役にたてたのならば、何よりです。


私はビジネスモデルや知財マネジメントの世界からイノベーションについて考え続けてきたとき、デザインに出会いました。
デザインの意味の深さと可能性に大きな驚きを感じ、デザイナーの方々とは一緒に何か日本の産業再生へ力を合わせられるのはないかと思い、お誘いにのらせていただきました。
私自身もこのシンポジウムで気づいたこと・学んだこと多々です。
参加させていただき、本当に良かったと思います。


頂いた、「また話される場など、自分の考えを推敲出来る機会がありましたら参加させて頂きたくよろしくお願いいたします」については、下記の私の講演予定がありますので、よろしかったら是非お越しください。
http://www.nposangaku.org/lecture_event/new.html


また、私は毎月オープンセミナーをアキバで開催しています。
次回は、12月12日(水)夜で、「酒のサントリーが水のサントリーに変身し、水資源を大切にするようになって、ついに森林資源管理まで移行された」ことをネタにセッションを行います。
よろしかったら、ぜひ、お越しください。
また、懇親会は多様な方々(あやしげな人も含め)の交流の場ですので、ご参加ください。
http://www.akiba-ic.jp/seminar.html#sem02

妹尾堅一郎