新国立競技場案がもたらすもの

難しい問題




2020年の東京オリンピック開催が昨日決まった。
で、喜んでばかりいられないと思ったのが、直接にはメイン・スタジアムの建設のことだ。
もちろん、市井ではまったく問題にされていない…当面は、ということだが、建築設計界では、ゆるりと地鳴りのようなものが起こっているのだ。その背景には、一時しか使わないような施設に無駄なカネをかけないようにしなければならない事情があろうからだ。


その意見は、計画地に隣接して建つ「東京体育館」の設計者である槙文彦氏によって出されて表面化した。それは(公社)日本建築家協会(JIA)の機関誌「JIA MAGAZINE」8月号(295)に出されたもので、6頁にわたり、「新国立競技場案を、神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」というテーマで語っている。要するに、「この特別な地域にあって、このヴォリュームでいいのか」という疑念の提出なのだ。
少なくない建築家が審査結果を見て、「おや?これでいいのかな」と思った可能性がある結果だったことと符合する。
ここではデザインの本質問題として、一般の人にもわかるように、槙文彦氏の言い分を分析してみよう。
(後述)