新国際競技場設計案のその後

【情報】


どうなっている、新国際競技場設計案のその後



10月14日の本ブログに書かせてもらった、上記の件についてのその後の動きのうち、建築家団体側から把握できたことを記します。


この設計競技には、「要綱」にしたがって少なからぬ著名設計事務所が参加しているし、工事の受注にあずかりたいことも含めれば、建築施工側諸団体も「要綱」が間違っていたと「参加したことを否定」できるような状況にないのは推測できる。しかもこの「要綱」は、2020オリンピックが東京に決まる可能性も分からない状況での、いわば「打ち上げ花火」だったという認識さえある。
したがってこの設計競技結果については、設計者(ザハ)や選定委員の問題でなく「要綱」作成時の問題だが、その時点での企画の「大盤振る舞い」も認めてやらねばならないだろうとして、責任を不問にする流れもあるように見える。事実、関係者の間ではこの問題に対して「緘口令」がでている、という噂も生まれている。実際、選定委員当事者たちからは何も聞こえてこない。


メディアの論調では「槙文彦氏の言うことはもっともだ」というトーンが主流を帯びてきているようだが、実際には、「具体的に」このザハ・プランを誰がどうするのか、さっぱり聞こえてこない。
それを受けてだろうか、この11月11日に建築(設計)関連5団体が、「施設規模、計画の条件設定の見直しと、経過や結果の情報公開」を要望書提出している。(*)


一方、「要綱」が悪いなら、今後そのような間違いがないようにする仕組みづくりが必要だとする考えも当然出てくる。そして、それ(今回の事件)とこれ(適切な「要綱」のための新しいシステムつくり)は違う問題だとする認識も出てきている。それを進めているのがJIA(日本建築家協会)で、猪瀬知事宛てに、これも11月11日に多様な専門家による第三者組織と市民参加による「”建築アドバイス機構”の必要性について」要望書を提出し、プレスリリースしている。(**)


(注)
* 5団体とは、日本建築士会連合会、東京建築士会、日本建築士事務所協会連合会、東京建築士事務所協会、日本建築家協会のこと。最初と最後が公益社団、あとが一般社団。提出先は、下村博文文科大臣(オリンピック担当)、猪瀬直樹都知事(招致委員会会長)、河野一郎(独法)日本スポーツ振興センター理事長。提出物:新国際競技場計画に対する要望書。プレスリリース元は日本建築家協会。

**  要望書は上浪 寛JIA関東甲信越支部支部長、連 健夫同、建築・まちづくり委員会委員長名で提出。