デザインの拡散と再興隆

変えることの出来ない思いの底辺から


デザインの扱う分野は、ヨーロッパで美と産業を結びつけたことで始まり、それが芸術と経済社会の取り込みという現代日本社会が本質的には受け入れる文化素地がなかった所で発展した。このために、そもそも超難題な課題に踏み込んだためにクリエイターたちは思考も方法論も拡散し体力を失った。それでも戦う者に対しても、育てる地盤も無く、行政やメディアでさえ社会的な関心が示されない現状はもちろん、出発点にあった分身のアート分野でさえ、美の純粋性を疑うという観点から共闘を組むような対応感は生まれてこない。
デザインはある意味で日本社会に定着した。その分、青鞜性は失われ、芸術としての関心も社会的な敬意も失われた。この後からのデザインの再勃興に掛かる生命的な努力、実態的な証明が自分に課された宿題だと思っている。それは結果的にデザインという、思わぬ色のついた言葉で綴っていけるものかどうかも分からないが。