「モーゼとアロン」後日談

モーゼとアロン」後日談

Again about "Moses und Aron" by musical journalist.


もう、いいと思いながら、この前のブログに書いた「モーゼとアロン」の後日談をちょっと。

当日の朝日新聞夕刊に、音楽評論家の長木誠司氏の評論記事が出てた。後になって見たのだが、とても同感したので、それを一部紹介したい。


それはムスバッハについての意見で、

「最近のこの演出家のルーティンでもある同一衣装での舞台は、うごめく群集のグロテスクさこそ描き出すものの、本来オペラ的でないこの作品の、それでもなんとかオペア的なドラマになりうる要素を、ことごとく故意にはずして雰囲気作りに走りすぎ、不満も残る。
例えば、歌っている人物の役割が不明瞭になるし、アロンがもっと扇動者的に描かれていなければ、作品のメッセージ性は弱まるばかりだ」



一方で、「使命感をもって」登場したバレンボイムは大いにたたえるべきだとし、合唱団にも脱帽としている。

「オーケストラはともすると味気なくなる十二音技法のスコアから、ロマンチックな芳香と、高解像度のモノクロ写真のような、細部まで克明にコントラストのついたドラマチックで立体感のある音楽を引き出した。(合唱団は)緊密なアンサンブルを維持しながら、歌にシュプレヒコール壮絶な威力を示した」


巨大な偶像は、ハゲ頭のシェーンベルグに似せられていたらしい。
なお、この作品は、「地元ベルリンでもすでに上演されなくなって久しい」とも。