ミラノ便り最新版

【情報】


深澤さんから久しぶりにミラノ情報が届いてので、転載させて頂く。



大倉冨美雄 様


ご無沙汰しております。

ミラノは穏やかな日が続いております。東京はいかがでしょうか。


4月8日から13日まで例年の家具サロンがあり、外人も多く大変賑やかでした。とても全部は見きれませんが、市内展は約400ほどあり、デザインのメッカ的地位は変わらない様に見えます。
ポルタ・ジェノバ駅の近くのトルト−ナ地区で「Tokyo Designers Week」展示があり,なかなか面白かったです(東京での去年の展示を持ってきたようです)。公共面でイタリアではまだ一般的ではない、IT技術を馳駆した相関性ゲ−ムやグラフィックが人気でした(特に子供の反応)。


ミラノ大学では、例年の、雑誌「インテルニ」のオーガナイズに拠る沢山の展示があり、日本からの展示作品もありました。中国からの作品群をあり非常に洗練された物も見ました。


スパッツィオ・クリッツィア」でのインゴ−・マウラ−の照明器具群、ブラボ−!。3年ほど前、彼の作品がつまらなくなったのですが、また面白いものを作り出しましたね。私の知る限り60年代の後半から照明器具の作家として・・・まったく息の長い人です。
照明器具メ−カ−、アルテミデも面白かったです。世界の有名なアルキ・スタ−数人に依頼した照明群の展示、三宅一生氏の折り紙のような一連の照明器具もありました。さすが!!


「Droog」 のシンプル、ミニマルな作品群。又、イギリスのデザイン誌「Wallpaper」の展示作品群も面白かったです。
ガラスのショウケ−スの中に黒い一連の「張形」。まるでビクトリア朝期のモ−ニング・ジュエリ−よろしくすべて黒、ごつい型をしているのもあり、これ、突っ込むの! 痛そ! オオオ−、鞭もあるではないか。あちらの気の人への一式なの・・・・解らないけど。あれもデザイン、これもデザイン。熱心に女の子が4人ほどケ−スの前で議論していたのが印象的でした。


将来日本の文化を広報する「ク−ルジャパン」。世界を廻るデザインの展示会があれば。一人よがりのアイデアですが、是非、ハイテクのロボット群からコケシまで出して欲しい。




今、イタリアは大々的な不況に陥っています。
失業率13%、失業者3百30万人、若者15−24歳の失業率42.4%!。実質50%以上かも知れません。企業はばたばた倒産、失業者が沢山出ており、政治的に介入せねばならない待ったなしの現状です。新しく首相になった弱冠39歳のレンツィが次々に政治改革を進めています。
国家財政の無駄をなくせと云う事で、色々ある公務員管理職の年収を削っています。防衛費の削減、銀行への税率上げや、やたら多い官庁の公務自動車の削減等々です。
又、5月から現金80ユ−ロ(11200円)が会社勤めで税込年収8000−24000ユ−ロの人々に支給されるそうです。(年収8000ユ−ロ以下や低年金者に関してはまだ未決定です。)
EUユ−ロから出ろと云う主張も根強く自給自足にすべきだとの意見もありますが、イタリアはEUグル−プにとどまった方が良いでしょう。EUを出ますと強烈なインフレの社会になる可能性が大きいのでは。
政治経済が危機に陥った時代、あの1970年代後半から80年代前半のあの強烈なインフレ時代を思い出します。むちゃくちゃな時代でしたね。コインが足りず、ス−パ−が自分の所でプラスチックのコインや印刷した紙券をおつりとしていた時代がありました。


あれから、かなり年月が経ち、進歩があって然るべきと思いますが、箍の外れた所はまだまだ多いです。
家具サロン中経験しましたが、地下鉄のある駅では4つある切符自動販売機の3つが故障で、大変長い一列が出来るとか、改札機が故障とか、エスカレ−タ−がしょっちゅう故障とか、郊外のある駅は便所が無いとか。
この国は公共施設の空間やオーガニゼ−ションや技術に弱いです。個々のデザインは真にすばらしいのですが・・・・・
                                              深澤正篤




うーん、全く変わっていないようだね。当時から、日本のいいところとイタリアのいいところを合わせられれば最高!と思っていたのだが。人間のメンタルは両方併せ持って仕切れるようなものではないのかも。