最新ミラノ情報Recent information from Milan

【日記】


最近ちょっとご無沙汰だったミラノの深澤正篤さんから、久しぶりにメールが来た。
遠方の観光客には判断のつけようもない国情が感じられる。
また外地にいる人こそが特別に感ずる、日本の問題への意識も。
感想ついでで身も蓋もないが、彼に送ったお礼のメールをつけて再録します。


なおついでに、関係があるので付記しますが、来たる6月27日(土)午後2時から、JIA館(渋谷区神宮前2−3−18)にて、私を含む数人が「街と建築を海外と日本から考える」というトーク(MASセミナー:JIA港地域会)を行います(問合せ:03−5545−5936:田口事務所)。
お時間のある方は、くつろぎのためにもどうぞ。終わってワインも。


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深澤さん

お久しぶり。どうしているか気にしていました。元気そうなメール頂き有難うございます。
アルプス国境で遮断するオーストリアの心理も判らなくもありません。大変な問題を抱えていますね。
これに中国人が跋扈。となると、最近のミラノは街を歩いていてどうですか?
ミラネーゼはどう考えているんだろう?
ミラノ・エキスポもサローネも、最近の日本では異常にメディア情報に曝されるようになりました。
変わっていればいい、というようなイベント感覚で、大挙して若者も出かけている様ですが。
どうも、このことだけで行く気になれません。というより、自分のいた時代のことと思い合わせて、妙な感情の激動に曝されそうで、心のまとまりがつかなくなってしまいそうなのです。

メールはブログに転載しておきます。
それでは、また近いうちに。

大倉冨美雄


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大倉冨美雄様


大変大変ご無沙汰しております。
お忙しい事と存じます。

こちらミラノだいぶ暑くなって来ました。まるで夏の暑さです。
お元気でしょうか。
そちら様のブログ時々拝見しております。


今年は年の初めからなんやかや大きな事件が続きました。
世界は今や・・・第3次世界大戦が始まるとは思いませんが、あちこち暑いご時勢になりました。

5月1日のミラノ・エキスポの開会から一ヶ月以上経ち、入場者は確か一日約9万人とか、まあまあの入場者数とか言われます。19時から23時までの安い入場券もありとのこと。夜出かける人は多いかも知れません。


イタリア社会全体、景気が悪いのは相変わらずで失業者は約700万人だそうです。政府は景気が持ち直してきたとは言いますが、庶民の実感はまだまだ・・・と言った所でしょう。まだ失業者はより増えるだろうとの観測があります。巷には数年前に比べ、イタリア人、アフリカ人やジプシ−の乞食は増えています。

現在、イタリア南部やシチリアにアフリカ、リビアあたりから、漁船やゴムボ−トに乗った沢山の、戦争や飢えからの難民が波のように押し寄せます。女子供を含みその人数一週間に何千人が大挙して到着します。途中で遭難転覆事故も多く多数の人々が亡くなっています。イタリアの提案にEU諸国の軍艦も共に、イタリア現政権はカトリックの精神から彼らを救い受け入れようではないかと救助作業を進めていますがそれに対し右派政党の一部は移民規制を唱えます。
これら難民の出諸国はチャド、ナイジェリア、ス−ダン、エチオピアエリトリアソマリア、シリア、アフガニスタンなどの国々で彼らはリビアから船賃1500ユ−ロ−2000ユ−ロを業者に払いイタリアにやって来るようです。
これら難民をEUは各国に振り分け収容する計画ですが、EU内諸国で受入数でもめているようです。

これらのアフリカからの渡航をオルガナイズするマフィアが絡んでいるとの観測が以前から言われています。

先日、ロ−マで中央左派や中央右派の政党絡みのこの難民救済事業に汚職不正で44人の逮捕者が出ています。何時もの国や地方の公共事業に群がる汚職です。
難民救済事業の大本の采配を振るうトップが業者(不動産業やレストラン業、観光業などを商うサ−ビス業者)に金を請求、その時の会話とその映像を警察の特別班に撮られつかまりました。コストの算定は難民一人一日1ユ−ロでとか話されています。

難民問題は片やビジネスになっているわけです。逃げてくる彼らは戦争や飢えからやってくる訳ですが、それをも食い物にする人々が居るということです。
南から上がってくる彼ら難民はミラノに寄り、そして北欧、スエ−デンを目指し、鉄道で北上しますがオ−ストリアとの国境で止められ越境することは出来ません。イタリアの他国との国境はパスポ−トや身分証明書のない人には、閉められたようです。国境に避難民が群れてきたとの情報が在ります。
すぐには難しいですが、抜本的な解決方法は彼らの国々が豊かで平和で安全になると云うことですが・・・・・


この5年ほどかミラノに中国人の経営するお店が増えています。私の家からおよそ300m半径内(600m直径)に8つ。 内訳はBARが3つ中華レストランが2つ、寿司屋が1つ、雑貨屋1つ、洋品店1つ この様に一昔に比べ めちゃくちゃに彼ら経営の店は増えています。大体家族経営です。どこかで読みましたが、ミラノで寿司屋の80%は彼らの経営だとか・・・・。彼らの世代が2世3世の時代に入って来ました。

去年の暮れだったか近くの劇場で中国人の舞台俳優が演じた一人芝居がありました。1990年幼いころ、お袋さんに連れられて食べるためイタリアに来たと彼の半生を語る劇で、私の頭の中はイタリア人、顔は中国人で・・・彼の半生を映像、音楽と共に一人で語る(イタリア語と中国語)舞台でした。纏足で在った彼の曾お婆さんからはじめ、内戦、日本軍進駐、毛沢東共産党文化大革命など中国人が今までいかに歴史に翻弄されて来たか、南京で「日本軍はすべてを持ち去った」と、オオオ−、日本人として見ていて「何を持ち去ったのだ」と突っ込みを入れたくなったのですが・・・確かに日本が中国に侵入したのは歴史的事実・・・しかしそれをまだ我々は償って居ないのか。正式な謝罪が足りないのか。もう償ったのではないのでないかと日本人として自意識を刺激されます。

日本は相対する国に対しあらゆる分野、政治、経済、科学、文化、軍事の力の均衡をとりつつ未来志向に向かうべきでしょうね。

中国の世界に向けてのこの様な草の根的プロパガンダはあちこちで始まっているでしょう。それに対し日本の広報も必要ですね。

最後に舞台の彼は言いました。日本の伝統的な技法、割れた陶器を修復させる技法に「金継」があり、つまり割れてしまった陶磁器の修復に割れた所を金で繋げる手法があり金で目立たせさらに新しい美を生み出す方法、それを日本人に期待したい・・・その言葉は日本をおちょくって言ったとも取れるしその本意は分かりません。割れた両国の関係を修復するには・・・・共同の新しい大きな器を新しく作ることかも、割れた破片を繋げる事かも・・・・


深澤正篤



My friend lives in Milan gave me a recent town information.
Talked about the big problem of immigration from Africa,also from China.