相変わらず面倒なイタリア人とのネゴ Being stil difficult in comm

認定されるための苦しみ


Being still difficult in communication and negotiation with Italian.


昨日、JIDA(既出:日本インダストリアルデザイナー協会)が年次行なっている「JIDA ミュージアム・セレクション」の認定授与式があった。

ここで、僕の関わったカルテル社(イタリアのプラスチック製品メーカー)の椅子#4875が選定された。

これは1976年に出したプラスチック椅子だが、実はカルロ・バルトリ事務所での僕の最初の仕事で、所長から簡単なスケッチ図を渡され、これに1/1模型を作れ、と言われたところから始まっている。

このいきさつは拙著「デザイン力/デザイン心」に書いたが、まだ販売しているこの椅子を、もっと日本に紹介したいと思い、それには自分の名前も入れてもらおうとバルトリに掛け合い、日本でならとの合意を得た。そこでの応募が功を奏してこの度認定され、昨日の授与となったわけだ。


この応募認定を当該企業からもらう課程では、想定はしていたが、背広の上から背中を掻くというたとえがぴったりするほど、あらゆることが面倒だった。


まず、カルテル・ジャパンに話しかけたところ、それは本社とやってくれとのこと、本社社長に、応募規定書類コピーの応募規定が全文日本語のため、主要部英訳(イタリア語だと、法律・専門用語の使用に難があると思ったため)をつけ手紙を出したところ、長い間何の返事もなし。催促の連絡をしたところ、専務らしい人の返事で、送られた資料が見当らない。もう一度送ってくれとのこと。
どういうわけか英訳コピーを取っておかなかったため、また主要な事項を再英訳して送る。

すると又ずっと返事無し。また催促。すると社長秘書に任せたから、これこれの女性から連絡があるとのこと。また連絡無し。
「もう時間切れなので、当方判断でやるのでよろしく」と、この秘書にメールを送ったら、一週間ほど前に返事しているとして、念のためにその返事をつけてよこした。
その文面によると、社長はポジティブな反応をしているが、サインしてくれない。ついては「規定全文のイタリア語訳を送ってくれ」。



この時期ではすでに、選定受託OKかどうかどころか、書類提出、寄付金振込み、紹介パネル制作、提供現物サンプル提出の時期になっていた。それに、これからイタリア語訳などとんでもない負担となる。
前記の通り、「もう自分の判断でやるので、社長を説得しておいてくれ」と書いて送り終わった。


このいきさつは逐一バルトリにもCCで送っているから、何が起こってどう推移したかは充分知ってくれているだろう。事実、最初のうち、彼自身が社長に電話してくれていたし、当方に連絡があったら教えてくれとも言ってきている。


この顛末を書いたのは、イタリア人と「商談」をするときの、充分起りうるプロセスを紹介するためだ。
僕は勝手を知っているから、怒りもしないし、こんなものだろうとも思っているが、普通の日本人なら耐え難いだろう。
秘書宛の最後のメールでは、「いわゆる、時間厳守にこだわる日本人からすれば…」受け入れられない旨の一言は付け加えておいた。