JIAのマニフェスト試案
【情報・論】
こんなことじゃないのか―JIA(日本建築家協会)のマニフェスト試案の提示
■9月12日に追加と修正あり(■部分)
すみません。今日も一日、気難しい話題です。
これまで、自分の考えの核になるような部分を、このブログにメモとして書くようなことはすべきでない、と思ってきた。また、福原(資生堂名誉会長との)座談会のような成果も、案内ばかりして結果報告をしていない。
これらについてはどうも、ブログの主意を日記風なものと考えて、時々折々の印象記でいいんだと思ってきたからかも、という風にも感じられる。
それに考えてみれば、いざ時間を見つけてパソコンに向かう時は、「書かにゃならん」と思うものの、いわば放心状態で、まとめた考えや成果があって臨んでいるわけではない時がほとんどだからだ。そんなことが、映画評論のようなことを書き易くしている理由だろう。
でも今後の方針としても、今回は、来る9月25日の討論会(JIAデザイン部会主催・8月28日の本ブログを参照下さい)のレジュメになりそうなことを考えてあるので、これを「記録公開」してしまおうと思う―(内容はこの前、5日のブログを書いた後に考えたことに触発されている)。
そうしなければ、あれはあそこ、これはここ、あれはあそこに記録、これはどこそこに保管、ここには公知したかしら、というように情報が拡散して行き、まとめがどんどん難しくなってきているのだ。
まず、以下で述べる提案が、当面の強固に固められた日本社会の実務事情の在りようの中で、建築家・プロダクト系デザイナーが国家的、法的、職能運動的活動を通して何らかの具体的成果が得られる可能性は至近距離では「ほとんど見えない」、という前提認識がある。
であるならば当初から、現状修復的な方法の提案や立場からのつぎはぎ作業はやめて、思いきり理想に走ってみる方が、事態の概要が見えやすくなる、と考えることである。
こうして、この討論会の成果も、国やJIAも一応無視して、「勝手に法改正」という観点から考えていることから、JIAデザイン部会の結論とするものではない、ということになる。
次にこの成果はフィクションとして、僕にとっては「自己勝手に生み出す」ものの素材となる、ということだ。
(ここで重要な認識がある。この建前は、何をどうするかを含め、建築においては設計施工一貫性への条件設定が目的であり、企業所属の設計者・デザイナー、大手設計事務所/デザイン事務所スタッフは一応視野の外に置いているということである。あくまで個人存在を優先に考えた組織形態の模索である)
その上で、今回の衆議院議員選挙の話題言葉「マニフェスト」を利用して(真似て、か・笑)、「JIAのマニフェスト試案」としてみた。それは当面、7項目ある。
1:設計業務(デザイン業務を含む)は請負業でなく、■あるいは請負業でないために、あるいは請負業としても、それが「文化専門職」である■ための企画提案、基本設計(以下まとめて「プレ設計」という。もちろんそのあとの実施設計、現場管理業務における監修業務も含む)にはコストがかかることの対外的明示と、設計者の自覚、内容理解、責任範囲の明確化、その観点からの会員整理、周知徹底(会員間でも、また一般社会でも=以下、彼我双方)。この観点から、■「プレ設計」業務の各項目に単価価格を設定し、設計施工一貫企業に対する設定条件も検討する。
2:契約形態が請負でなく委任であることの彼我双方における周知徹底。自律関与責任だが、実施(施工、生産)責任ではない。
3:建築基準法、建築士法を以上の観点から整理。政治家、弁護士グループとの勉強会と支援の要請。
4:コラボレーション、ワーク・シェアリングの可能性と限界の見極め。規模、組織形態、人間関係、必要業務内容の分析と分類。
5:個人的事務所開設のための手続き、運営、注意点伝授教室の設置と運営。
6:英語情報の一括管理、国外からの仕事を受けるシステムづくり。
7:高齢化対応策の徹底。高齢者事務所の運営ルール化とサポート。アーカイブス事務共同受託。
■1の背景には、日本社会が基本的にノウハウや個人能力に対価を支払う習慣がなく、公正取引員会判断以前に国家的体質の問題があるため、事業者圧力が無理な場合、何らかの法的規定が必要になるという観点に立っている。
以上で、芦原太郎氏、南條洋雄氏、堀内智樹氏にぶつかってみようと思う。