久し振りの記述・オンラインセミナー記録

ここしばらくブログを書くことを忘れていた。というより義務感が軽薄になったからかも知れない。

どうりで、いろいろな人に長いメールを送ったりできるのが不思議だった。

 

本年(2021)10月12日に(公社)日本建築家協会(JIA)住宅部会(関東甲信越支部)の招きで、オンライン・セミナーを開催した、その記録がYou Tube に掲載されたので、見て頂きたい。JIAのホーム・ページからアクセスできる。

タイトルは「イタリアとは、日本人、クリエイティブ〔アーツ〕コアとは」というもので、在伊10年近いミラノでの生活情報を肴に、日本に内在する問題を語ろうというもの。

オンライン・セミナーに慣れていないこともあって、「聞き取りにくい」というコメントが多かったが、マイクだけの問題でなく、活舌の能力不足もあるだろう。

終了後のアンケートに答えた人の多くは「良かった」と言ってくれたが、一人だけ「良くなかった」とし、その理由を色々述べてくれた。

上述のように、ブログ記述負担から逃げていたので、この人に返信する余裕があった。セミナーの全体的な印象理解にもサポート役となると思い、以下に匿名で転載します。

 

 N様

アンケート返信を受けて:

  

「イタリアとは・日本人・クリエイティブ〔アーツ〕コアとは」のオンライン・セミナーに参加頂き、またアンケートへの踏み込んだコメントを有難うございました。

セミナーが「あまり良くなかった」とし、その内容を説明されていることを了解しました。

 

「聞き取りにくい」は大勢の方が言っていて、私の活舌の問題もありますが、近々、You Tube にアップするに際に、多少は修正してくれるようです。

 

「言葉使いが独特過ぎて…」は、誠にもっともです。

住宅部会のセミナーとは言え、今回は、話し相手を「建築を理解する人、理解しようとする人、建築を愛する人、優しく建築に迫る人」などに想定するのでなく、その枠を越えて、当節の文化認識の低いメディア人種、産業人、学者、出来れば(一番、文化度が低いと思われるので)政治家などを意識して、社会問題として語りたかったのです。つまり視点を大きく一般社会、産業界に向けていて、その辺に電波を届けたくて使用したつもりの「言葉使い」です。

 その観点から、イタリアの話もあくまでイントロで、「美しい景色や、綺麗なプロダクトを見せよう、美味しい食事の話をしよう」等という気は毛頭なく、自分の作品説明も適当にして、現実の社会風景から日本の問題(そこに含まれる建築家の問題)を引き出したかったのですが、うまく伝わらなかったようですね。

 

 私は、この国の姿について優しみの無い不明確な怒りのようなものを覚えていて、そのことが語りたく、それが結果的に受ける方にとっては、異質な表現と聞えたのかも知れません。本来このような盛り込みテーマは、語り部の能力の問題と共に、短時間で語れるようなものではなく、徐々に温度を高めていくべき内容なのも事実です。例えば最後に、「感性価値創造省」などと言ったのは、「縦割り構造の国政システムを改革する中で、『建築家も国土交通省管轄から外して…』と、いった含みを背景に持っていたのです。

 

 期待が大きかったためか、期待に応じられなかったことをお詫びすると共に、是非、私の主意も理解して頂けるよう祈念しています。

 N様の建築家としての理念は誠に正鵠を突いたもので、共感の至りです。いい仕事をされているので、ますますの発展を祈念しています。

 

20211020                           大倉冨美雄