サインデザイン協会のアワードに招かれて

SDA賞授与式に、僕の名前をつけた招待審査員賞を授与するために出席した。


このブログ報告は、少々複雑な気持ちのため、うまく伝えるのに時間が必要。だが疲れているので、明日以降に今日のこの日記の続きを書くこととする。

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SDAとは社団法人日本サインデザイン協会のことである。
去年、今年と、この協会の主催するデザインアワードの招待審査員として、そして招待審査員賞の授与者として協力させて頂いた。
会長は井原理安氏、サインデザイン界の大御所である。

賞状授与に続けて、講評を、ということで述べたことは、以下のカタログに書いた公式評を意訳したものである。



審査全体評と招待審査員賞評


感じたことは、デザインとしての底上げは進んで来ている一方、まったく新しい提案・デザインは一段と難しくなっている、ということだ。
特に大掛かりな建築設工事になるほど、サインの新規性の可能性と重要性は増しているはずだが、その割には関係者や建築設計者がサインの真の意味性を意識していず、建築計画の当初から本格的に相談されてはいないからだ。もっとも、そんな余裕がないほど追い詰められているのが現状でもある。この結果サイン・デザイナーは、建設プロセスにあって、早くても設計の出来上がった空間で何とかしなければならず、これでは誘導標識の域を抜けられず、本当のサイン空間のイノベーションは難しい。          
そういう点では独立性の高い、この「ミスター・P」というコイン・パーキングなどはその被害からは無縁であるが、反対に都市環境の破壊者のレッテルを貼られやすい。
それを承知でのことだが、都心部から車を追出すのでない限りパーキングは無くせないし、視認必要度は高い。そうなら、この神経のとんがる都市生活で「視神経にだけでも」、シンプル、明快で、さっぱりして憂さを晴らしてもらわないと困る。
そういう意味では、設置環境に合わない場合の配慮もあり、生活者心理をよく織り込んだサイン計画と言える。



この後、SDA、ディスプレイ・デザイン協会と商環境連合などの4団体が立ち上げた「空間デザイン機構」の第一回「空間デザイン賞」の記者発表、並びに作品集発刊を記念して懇親会が開かれた。

選ばれたのは、2企業、1個人で、資生堂、東進開発、杉本貴志氏の業績に対してだった。

資生堂は、言うまでも無く、そのデザイン性、アート性の高く長い企業活動に対して、東進開発は、「玉川高島屋SC」に始まり、最近の「流山大鷹の森SC」に至るまでの、デヴェロッパーとしては空間創造性の高い商業施設造りに対して、杉本貴志氏もここ30年あまりの素材に着目した空間造りに対して顕彰された。


選定は適切と言えよう。選考にはだいぶ時間をかけ、慎重に対処したらしい。

ここから先はまた、明日以降に。


以下、12月8日の付記

サイン・デザイン協会、ディスプレイ・デザイン協会が施工業者やデヴェロッパーと連携して、新しい組織を創ったこと自体が目新しい。

建築士の世界を例に取ると、建築家と建築士が違うという意見以上に、設計者と施工業者とのミゾは深い。設計施工一貫制はこれまでの日本では設計者組織の中では問題とされてきた。このため、例えばゼネコン勤務の設計者は建築家協会(JIA)では会員にしていない。

こういうことを知れば、連合体の難しさと、それを一体化した事の意味が大きくなって来る。「空間デザイン機構」のこれからは注視に値する。