MAMMA MIA!

マンマ・ミーア!




張り切りすぎて痛々しいので見ないほうがいい、と言っていたのを誰かから聞いた。
ミュージカル映画「マンマ・ミーア」のメリル・ストリープのことだ。


そんなことはなかった。
相変わらず何でもこなしてしまう女優だな、と感心した。確かに皺も見え、太目の中年以上の女が飛んだり跳ねたりは必ずしも最高というわけではないけれど。
メリルは実は本来は歌手で、女優転向組なのだそうだ。それで彼女は、やっと本来の役がやれる、と大はしゃぎになったのだとか。
感心したのはそれだけではない。アバの曲はメロディーとリズムとしてしか聴いていなかったが、歌詞がそれなりに含蓄があること。あの「ダンシング・クイーン」だって、ちゃんと歌詞に意味があった。それに、その歌詞を生かしてストーリをつくり、十分見れるミュージカルに組み立ててしまったことだ。大したものだ。


ギリシャ・ロケだろうが、石造りの住居が寄り添う崖地と海が美しい。強烈な太陽が創る夕日に映える頬や木立。
承知でセッティングしたはずだろうが、背景にいつも海がある。それがアングルと季節と時間によって、様々な色合いと光を見せる。きらめく海、透き通るような水色の海辺、さざなみの立つ暗くなってゆく海。
アバの曲は北欧の風景でないと映えないかと思っていたが、そうではなかった。こんなドタバタ喜劇風でも行けたのだ。


何も考えずに楽しめる作品。特にアバの曲が大好きな人には。ただしストーリーはそれなりにリアリティがある。