日本人の根底は   (附) トーク案内

【日記】


自然が教えてきた「悲しみ」が、国民の基盤になりますように



どこかで語ったけれど、3・11のあの時、僕はリオデジャネイロに近づきつつあった飛行機の中にいた。だから当日から1週間くらい、多くの日本人が味わったと思う絶望感の実感がない。リオで見た流される大量の自動車も、スゲーという感じを出なかった。その後でも、そんな気持ちを維持していた。
見たくない、聞きたくない、という内心の声もあったのだ。
実感すれば自分が打ちのめされる。日本人の弱点をわざわざ確認してどうなる。悲しい国人だということは十分判っているんだ。自分からわざわざ窮地に陥ることはない。そんな気持ちだった。


もともと、自然の脅威の前に成すすべもなくひれ伏してきた島国の民が、他方で海山川の自然の恵みによって豊かさも享受してきた。自然の摂理に従うことが生きる途だと肌で知っていた。それは、自我や個人などという考え方をあざ笑うような明確な摂理だった。
僕があちこちで厚かましくも自我の確立とか、個人に目覚めよとか言ってきたのは、この日本人の摂理を知らなかったからではない。あまりにもこの国がカネと規制に縛られてしまったことへの注意だった。それを言えば、開国以後の日本人は外国人の精神を外交上で読み取る力を育てるのが下手だった。また内から育てたのではない借り物のシステムの上に早々とあぐらをかく者が多かった。


この夏も日本中のあちこちで、ドーンと花火の音がして河原や海辺に繰り出した人々や、太鼓の音やお囃子の声で夜祭に参加した人が多かったに違いない。
頼まれもしないのに、盆踊りが始まれば参加したくなる。ここに皆で一緒に同じことをする快感がある。忘れかけた民人の良心がある。この連帯感によってのみ、悲しみの民を癒すことが出来るのだろう。
これを捨てるのでなく、経済の仕組みにすることが大切なのだ。





(附)トーク案内2件:同じ場所です。
1・本ブログ7月12日に、来る9月24日(火)夜7時からのトーク番組のご案内を出してあります。
イタリア文化史で知られた法政大陣内秀信さんと私で、イタリアを肴に日本のこれからを文化育成の観点から探ることになると思います。彼との間で、アドリブの方が面白そう、ということで最初から(出来れば)ワインを出して貰おうかと思っています・・・どうぞ、お申し込みを。


2・9月14日(土)午後1時半より、上記と同じ場所(神宮前2丁目3−18・JIA館1Fサロン)で、「建築家がつくる小規模建築の魅力」のトークをします。こちらは私を入れて、日本建築家協会(JIA)港地域会のメンバー5人が経験と想いから、小さい建築(といってもオフイス・ビルから狭小住宅まであり)のあり方についていろいろ語ります。参加費は無料。これから住宅を建てたい方は、ぜひともご参加ください。申し込みは担当の、03−3447ー2360の創建築アトリエ今井さんまで。


開催場所の概要について:各地下鉄「外苑前」より徒歩10分。都バス例・千駄ヶ谷―目黒で「神宮前2丁目」1分。