「格差」で話題に

テーマは明らかに「格差」。
日本の社会が明らかにおかしくなっている、という指摘と、それへの対応として「格差」をテーマにしたイベントが多くなっているようだ。
今日は日本デザイン機構のこのテーマでの討論会があり、行ってみた。
(恵比寿:日仏会館)
最近、「格差」を問題にして大きな話題になったのがトマ・ピケティだが、今、自分がまとめている原稿でも主要な底流としている。


ここでは、主催の水野誠一さんの音頭取りらしいのが見えてきた。それはそれでいいと思ったが、「ソーシャル・デザイン」という観点がここまで拡大しているとなると、もうデザイナーの問題では無くなっているな、という感覚も生じてきたのも事実だ。
他に谷口正和さんなど、昨年に「栄久庵で切る」(追悼記念)を開催したメンバーの集まりの後の1年目。つまりこの組織はGKデザイン・グループに根を持つもので、出発点は日本インダストリアル・デザイナー協会(JIDA)内の勢力争いで、いわば追い出された格好の栄久庵氏が外部に創ったものだ。
あの理事会の時、主要な議題が終わるやいなや、栄久庵氏がGK仲間を促して退散していくのをボヤッとみていた自分を知っている。確かあの後、僕が理事長になったのだったと思う。


想定だが「日本デザイン機構」には、栄久庵氏でもどうにもならなかった社会変革への踏み込みを、受け継いだ水野氏によってソーシャル・デザインという接点か論点で踏み込みは出来たが、それはどうも栄久庵氏がイメージしていたものとは少々違うのではないか、ということがある。
水野氏にしてみれば「俺の思い通りにやれないなら知らないよ」ということかもしれない。
僕としては水野氏の意見には全く異存がない。してみると、もう少し今後の対策や協同事業について話してみたいと思うのだが、彼の方にその気はないようだ。


こういう話に流れていくのは、まさしく現在、いくつものデザイン団体があり活動しているが、それでいて決して交わろうとしない実情を見ていてなんとも言えない気持ちになるからだ。JIDA時代にも通産省認可デザイン8団体というのがありながら(もちろん、現在もD8としてある)、どうしても一元化出来なかった。そして今、自分が中心にいる「日本デザイン協会」でもまとめられず、自らも他団体にすり寄っていく気はない。これはデザイナーや建築家の業(ごう)と言うしかないのだろう。