火星探検とプラスチックごみ
テレビ映像が教える、我々には手が届かないような問題
息子などを見ていると、もう若者はほとんどテレビを見ていないようだ。
ところが自分は、仕事はあっても気になるテレビはどうしても見てしまう。朝飯の時に新聞を通覧する癖が抜けず、ついでにどうしても気になるテレビ番組を探してしまうからだ。
それが面白ければ、時間を大幅に取られても見てしまう。後の仕事が山積みでも「えい、いいや」と負けてしまう。
実際には、忘れてしまったり、帰宅に間に合わなかったりもして、見る確率は50%程度だけれど。
今夜のコズミックフロントNEXT「火星完全植民計画最前線」(BS3/10:00PM)と、世界ドキュメント「プラスチックは海に消える(BS1/11:00PM)はどちらも見応えがあった。
本当にここまで研究し、実験している科学者たちがいることに感謝の気持ちになるが、自分で何かできるわけではない。しかも火星とごみでは、あまりにも極大と極小のようなテーマである。しかし何も出来ないとしても、日常業務があまりにも些細でつまらないことをやっているという気にはさせてくれる。それだけ問題が地球変動のような時点に掛かってきたのだ、という実感も伝わってくる。
火星探索とは実際問題としては、火星への移住の確認のことである。
知らなかったが、このためにすでに相当のデータが上がっていて、月への人類の到達時代に比べれば、豊かさ4倍、技術力5倍が揃っているとのことだ。火星の地上風景もたくさん紹介された。もう無人探査機が何度も表面に降りているのだろう。まさかねつ造データではあるまい。赤茶けた砂漠のような風景が何度も出てきたが、その多くのシーンはユタの砂丘に造られた研究実験施設付近の映像のようだが(「オデッセイ」という、火星に残された人間の生きる物語を描いたブルーレイが出ているようなので、そこからの借り映像かも)。
実際に火星に近い所でその周回軌道に乗せる、組み合わせ(ドッキング型)有人ロケット(宇宙船オリオン)が開発中とのことで紹介があった。また火星が砂漠になったのは空気層がはきとられてしまったからで、それを取り返す夢のような提案をしている科学者も紹介された(再放送で聞き取ったところでは、工場を建設、フロンガスを発生させ磁気効果ガスを生み出させ、生み出された二酸化炭素ガスで温度を上昇させ水分を生ませるのだろう。そこから揃った生物育成可能環境に地球から微生物を持ち込むのだという。「テラフォーミング」という考えだという)。これが成功すれば火星は水と緑の星に変わるが、それがもし地球と同じ組成でなければ、それは人類が移り住むためではない、とまでこの科学者は明言していた。しかし実際は、多くの科学者もそれを支える人たちも、スティーブン・ホーキングが言っているように、地球の滅亡を意識していればこそ、火星探索に夢中になっているのは間違いないだろう。
一方、使用済みプラスチック商品の残骸が膨大な数となって海に流れ込んでいる問題の検索が、フランスのテレビ番組で紹介された。ここ数十年の海洋内におけるその蓄積は、データをメモしなかったが、何十倍というすさまじさだそうだ。
それは長い年月を掛けてマイクロ・プラスチックと称される5ミリにも満たないごみになって、海流に乗って漂流し、すでに世界中の海に散らばっているという恐ろしいデータの紹介だ。
当然、それを生物が取り込んでいるのでは、という疑いを検証している状態だが、事実、海産物に付着しているデータが示されていた。今の所その低いパーセンテージから、人体への影響はほとんどない、という報告のようだ。それにしても恐ろしい話だ。
繰り返すが、この二つの番組を続けて見たら、日常業務がすごく空しくなったような気になった。
ただし空しいというのを単純にとってはならないのだろう。それはやる意味がないというのではなく、身の丈で出来る小さくエコな生き方を、欲張ったり不満でやるのではなく、生の慈しみとして甘受せよ、という教えのように取るべきなのだろう。
マクロとミクロに渡るこの現実を、人の動きが如何に科学的、合理的でも結局は、「この世界の虚無性に逆らう、虚栄心からの発露でしかない」という教えのようにも取れる、とまで言ったら言い過ぎか。
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