@「新日本様式」紹介7分VTR(パリ三越エトワール用)

*「新日本様式」7分VTR(パリ三越エトワール用)を紹介します。


掲載が遅れたが、17日に予告したパリでの紹介映像は19日夜(現地時間)放映され、拍手が起ったとの当方不在時の電話を頂いた。
全体VTR紹介は未整理著作権の問題があるが、どんなことを言った内容だったのかは、制作プロデュースに関った立場と、ここでの大幅な再編集によって、以下に紹介を許されるだろう。
来週月曜(26日)以降、「パリ報告」があるだろうから、その様子はまた伝えられると思う。
以下にその概要を。少し、判りにくいかも知れないけれど・・・


ここでは、フランス人が聞いた時のニュアンスが伝わるように、敢えてフランス語化されたナレーションから、改めて日本語に再訳してみた。このため意図的に直訳的にしたため、判りにくい訳になっているものもある。読んで難しそうな訳文は原文の日本語を括弧内で示した。残念だが音楽は省略。VTRは後ほど、「ユーチューブ」などでも紹介されるように計るつもりだ。


■イントロ。夕焼けのシーンと童謡。暮れる冨士。(10秒ほど)
■ 高速道路、超高層ビル、都会の雑踏、忘れられた小路など、色々の現代及び現在の日本を30秒ほど流した上で、「これが日本?」と問いかける。(ここはテロップとなった)
■ 〈クールジャパン〉と言われている、アニメ、ゲーム、フィギュアなどを静止画像でパラパラと見せ、「これだけが日本?」と更に問い詰める。(ここもテロップ)


■■ 黒味のベース画面に、
「いや、日本人の精神は昔から『芸術』に表現されている」とたたみ掛ける。
■ そこで、雪舟光琳などの日本美術を10秒ほど流し、
「美の原点は『自然』にある」と言い、次の雪月花(華)への準備をする。
象形文字の組立てから入る雪の章の語り。映像は飛騨高山かどこかの雪に埋もれた山村、ラッセル車がゆく、雪の中を流れる小川とか。「雪は世界のすべてを覆う。隠すのは新たな世界を生むためだ」と区切り、「それは『再生』の象徴」とくくる。
象形文字の形成から入る月の章の語りは、満月の月夜、城郭が見える。つきを形象化した器など。「天空には1つしかない月が。誰もが月の輝きを分かち合える」そして、「それは『世界の真実』の象徴」。
象形文字から入る花の章の語りは、「はかなきものは永遠に繰り返す。花は一度散り再びきれいな花を咲かせる。死は生の中にあり、生は死の中にある。それは自然の法則」そして、「それは『繰り返すいのち』の象徴」


■■ 京の寺の庭から見る景色。暗闇の中に光る稲妻。こうして日本人の自然への恭順を感じさせる映像での語り。
「日本人は自然への流れを写す鏡の中に魂を探す」(日本人にとって自然は心の規範)
「人々への敬愛、自然への敬愛。こうして生産への活動は日本的なものに向く・・・」(日本人の自然観は、人々の優しさを追求するプロダクトへ)
■ ここから人に優しい商品(「新日本様式100選」からのセレクト)数点を紹介。
「人とロボットの共存。アシモ」(ホンダ提供映像。ヨーロッパの街中の内庭で子供たちとかけっこをするアシモ
「人を思いやる静かな空間作り。サイレント・ヴァイオリン」(初心者の女の子が家人が読書をしている居間の隅でヴァイオリンを弾くシーン)
「シンプルと純粋を伴った美の調べ(清潔感を重んじる気配り)。イナックス・サティス」(男の子が近づくと開き、小用を足して離れると閉まる便器のシーン)
「自然資源の経済的快適さの追求(資源に配慮した利便性の追求)。プリウス」(トヨタ提供CM映像。林の中をゆくプリウス


■■ 黒味のベース画面に語りとテロップで「このソフィスティケートされた技術は日本文化の成果」(この技術の細やかさは日本の風土から)と語りかける。ここから100選選定品を参考に、その例をいくつか紹介する。
「現代が伝統と行為の光明を再び取り上げる時、竹の道具は蘇る。一つの単純なモノ、今日の消費者が茶道の心を手段にする(竹の水筒は現在のデザインに受け継がれ、伝統のお茶を今の消費者に届けた)」(サントリー伊右衛門)。シーンは水盤から見える庭石に置かれた江戸時代の竹筒水筒へのアップ。伊右衛門のCMは事情があって使えなかった。
「自然素材、古い技術、革新的な商品。紙から布になる時・・・(自然を生かした技術で紙から布を作り、新たな製品に)」(美濃和紙から織物)。手漉きによる和紙の製造風景と和紙から繊維への画像移動。
「職人の腕は創造力という宝をうまく隠す(匠の技は、現代のデザインにも生き続ける)」(キャノン・IXY)。刀鍛冶風景から日本刀がスライドしてIXYのサイドラインに収まるシーン。
「スタイルの新しさは伝統を富ます(伝統は、新しいスタイルを提案する)」(パゴン・アロハシャツ)。京友禅のびん型を再利用してプリント。アロハシャツに仕上がる。
「光は空間を生み、一つの優しさは他の親しみを生む(優しい光は、優しい空間を生み出す」(パンソニック・ホームアーキ)。日本の幽玄な奥座敷に灯る行灯へのアプローチ。そこから、モダンインテリアに組み込まれた間接照明のシーン。


■■画面はまとめに入り、黒味ベース画面。「日本では、進化への注力はそれゆえに伝統の中にある(日本の伝統とは進化を続けること)」と語りかける。


■■ 外国人には説明しにくいが、「道」の章に入り、空手道、書道、華道の実践シーンを写し出し、20秒ほど日本文字も加えて以下の説明を行なう。
哲学の道に従うことは、気遣いとなって残っている。生の息吹であり、心の鼓動である(それは『道』という作法にも脈々と息づいている)」
「道は「美」につながり、美は「未来」に至る」
■エンディングとして、桜並木の俯瞰シーンを繋げてゆき、そよ風に散る桜吹雪を出す。その上で、新都心的な風景に旭日が上がってくる。


■■旭日の空気の中に、「新日本様式・・・・・・それは、伝統と先端技術の融合。日本人の「道」、我々の世紀の為の・・・」(新日本様式のムーブメントとは・・・あらゆる伝統と先端技術の出会いが生み出す、我々の世紀のための日本の提案)と解説して終わる。


画像は出来合いのものを探してきて使うのが多く、実撮は多くなかった。少なからぬ協力者の方々の努力によって出来たもので、感謝の気持ちでいっぱい。
この紹介もフランス語の語りを聞きながら見ると、グッと臨場感が増す。話し言葉としてのフランス語の魅力に取り付かれた、という副産物もあった。