三菱ケミカル・ジュニア・デザイン・アワード

三菱ケミカル・ジュニア・デザイン・アワード

Attended at the Mitsubishi Chemical Junior Design Award




水野誠一氏を委員長とするこの賞の授与式に招待され、受賞理由について各個人審査委員のウンチクを聞いた。
その話も熱がこもっていて面白かったが、このために授与式が30分オーバーした。委員の一人、栄久庵憲司氏の話が学生への暑い思いに色どられていたから、後に続く委員がそれに続いたという感じ。

委員は多彩で、他に石井幹子、柏木博、河原敏文、坂井直樹、都築響一日比野克彦、向井周太郎、茂木健一郎、それに三菱ケミカル・ホールディングス会長の冨澤隆一の各氏。
この賞は最近まで、レイモンド・ローウイ・ジュニア・デザイン・アワードと言っていた。


審査員特別賞は個人賞だから、それぞれの傾向が見えた事もあって、受賞者の学生、大学院生の作品はそれぞれ面白く、委員講評の熱のこもりにつれて、これでは日本の未来は安心だ、などと楽観的な気持ちになった。


特に興味を引いたのが以下の通り。どういうことが言えるかは個人で考えてみてもらいたい。(受賞学生の名前はとりあえず省略)


●地下水汚染地域における飲料水給水ユニット。(名古屋市大・栄久庵賞)

●日本の川 日本の道――日本の道路すべてを、その比例の巾で白地図に書き込む。日本の河川をすべてその大きさで白地図に書き込む。当然ながら、一方は国を切り刻む量を示し、他方は自然量を示す。(武蔵野美大・都築賞)

●擬度、擬音擬態、度合い事典――擬音の度合いを図示した事典。例えば氷の砕き度合いを変えてカキ氷を並べて図示し、その砕け方によって、さらさら、しゃりしゃり、ざくざく、がりがり、ごりごり、ごちごち、と表記区分するといったような。(武蔵野美大・日比野賞)

●自分らしく身につけられる頚椎装具――受賞者本人が装具を必要としているので、みっともなくない為の本気の取り組み。弓状のリブをゴムで繋げたもの。(多摩美大・向井賞)

●日本人再教育玩具・アジの開きパズル――皿の上にレストランにある料理サンプルと同じつくりでアジの開きをつくり、それが身をほぐすように骨まで分けてランダムに分解できる。それを箸で元に戻して遊ぶ。(玉川大・茂木賞)

●そこにある皺――洗濯板のミゾをウェーブした皺のようにつくる。化粧コンパクトでも。(武蔵野美大・佳作)

●R100――再生紙使用のティッシュペーパー・ボックス(ティッシュ再生紙)が、イラストに画かれた絶滅危惧野生生物11種を切り取って組み立てれば、ペーパークラフトになる。(東京藝大・大賞)


パーティでお話した冨澤隆一会長は、協賛会社名が化学会社であることに一抹の心地悪さを感じているようで、僕らの協力も十分考えられると思った。


なお、この作品展は聞き覚えでは、たしか明日より4日間、18(日)まで、(有楽町のでしょう)東京国際フォーラムのロビーで展示されるということだったので、関心ある方は見られたらと思う。