今日も、イタリアと日本の続き

【情報・論】


しかし、どうもブログにしては、硬い内容だ。


「イタリアと日本。何が見える?」の先週のセミナーの報告のこと。
その理由は、レジュメをコピーして日記に貼り付けて加工するから、ということもあるだろう。


今日も、そうなりそうで心配。そうならないようにしなけりゃ。

第3講 「人は見た目が九割の虚実」

結果的に、大変内容のあるセミナーになったのは、出席者との会話のやりとりのおかげ。
そうは出来なかったが、この会話を録音しておいてそのまま使う方が、問題への臨場感が出ただろう。

僕は昨夜のこのセミナー展開を、レジュメ通りに進められると思っていた。
見た目の問題は、イタリア人と日本人に振り分けて説明できるものだと思っていた。
日本人は見た目を軽く考えると。 イタリア人は見た目を大切にすると。
この話はそんなに単純じゃなかった。わからないことではなかったけれど。


後に述べる、「日本人は農耕民族ゆえに語らなかった=見える表現にならなかった」という図式になった後、受講者の阿部さんから、欧米人が出会いがしらに軽く笑うのは、「社交性がある」のではなく、「自分はあなたの敵ではないよ」とわざわざ自己表現しなければならないからだ、という話になった。
というのも、紙と木の家に住む日本人は、どんなにしても自己を隠しようがなく、その結果みんな筒抜けで仲良くしようね、という国民性になったのだという話の裏返しだというわけ。
これは文字通りには見た目の話ではない、というのかあるいは、だから人目外観を気にしなくなった、ということなのか。ちょうど女が、人目を気にしなくなったら化粧をしなくなったとでもいうように?
この指摘は、田植えではなく、住宅の構造、材料、建て方もが、日本人の精神形成に関与したということを意味する。


それは、レジュメに従って、僕の次のメモに入ったあたりからの問題となった。

「人は外見で判断してはいけない」と日本人は思っている:
日本人は生活現場では、見た目の判断のような「非言語コミュニケーション(Non Barbal Communication=略してNBC)」を活用しているが、それは「重要な判断のためで無く、日常の無責任でよい判断の時に使用するもの」という条件を付けている。基本的には、「見た目だけでは信用してはいけない」と信じ込まされている。(大倉の主張)

そこから、
「日本人はそもそも語らない民族だった。多くを語ることなく、お互いを理解しようとした」(「人は見た目が9割竹内一郎新潮新書。以下、本論主題の関係から所々で引用)というメモとなり、更に引用で展開する。

日本人のコミュニケーション特性は、「語らぬ」「わからせぬ」「いたわる」「ひかえる」「修める」「ささやかな」「流れる」「まかせる」であるとする話となった。(芳賀綏「日本人の表現心理」中公叢書)
「語らぬ」:一人で黙々と田畑を耕す農民の相手は人間ではなく、自然。仕事中に他人とぺちゃくちゃしゃべっている必要はない。ヨーロッパは早くから都市国家や商人社会が発達。意思表示しなければ自分の権利も危うい。その結果、愛憎の感情が激しく、表現も強烈に。自説主張し、正当化するための論理学、修辞学は必須の学問だった。
福沢諭吉の「演説の技術を身につける必要性の主張」。「相手に、わからせ、自分を通す」のが欧米流。オバマの例。「お互いに、語らずに、察する」のが日本流。 知っていながらそれを秘し、公の場の問題に出来ない国民性を涵養した。このために自己表現の方法も見失っている。


こうして、だんまり主流の国民になった日本人は、自己表現力に欠けることになった。そこで「人は見た目が9割」を教えなければならなくなった…、というわけで、話は繋がった。めでたし、めでたし、と言っていいか、どうか。
それにしても、硬い内容から抜け切れていない。



(この話の続きがあれば、後日にしましょう。以下は骨抜きにされたレジュメ記録の残り)



本日の主題:非言語コミュニケーション(NBC)の力を復活させよ―今夜は日本人の国際化問題

イタリアで感じた表情、しぐさ、の多様さの決定的な差。アメリカ仕込みの売り込み術で成功。
ハプスブルグ家が集めた絵画にみるイタリアン・コレクションの意味(現在。国立新美術館で開催中)。視覚が外に向かって行き、楽しむ。光と色の享受。ゲーテのイタリア紀行。

人は見た目が九割という本が話題になった(竹内一郎新潮新書)。活字本よりマンガの方が圧倒的に売れている現実。
実は、われわれは初対面で相手の印象をまとめている。
姜尚中の場の支配力。ボイス・トレーニング。方言の意味。うなずき・あいづち・笑みの意味。
ジャンヌ・モローの言葉と恋愛。まなざしとサングラス。じっと見つめる女は本来怪しい(竹内)。潤んだ瞳。

女の方が勘が鋭いわけ。
秘すれば花」(世阿弥)の影響。
能と歌舞伎。

心理学では、人間の発する情報での「言葉の内容そのもの」が占めるのはわずか7%とか。顔の表情55%、声の質・大きさ・テンポ38%。言葉は伝達目的に生まれた「時別な道具」。ノンバーバル・コミュニケーション(文字以外の伝達)の方が伝達力が高い。

色と匂い。メイクアップの力。匂いについてはテレビの影響。表情学。

「間」の伝達力。

体からの距離(エドワード・ホール)。席順。夫婦の距離。行儀作法。覗き。

空間の影響。温度・湿度・天候の影響。