本を読まないなら

どのように伝えたい心情を表現するか。それが問題だ。


心を寄せている人が、贈っているのに「(大倉さんの)本は読んでいません。抽象的で難しいので」と言われると、改めて考え込んでしまう。 そんなこと言うのは、ある打ち解けた食事会の席で、しかも女性なんだけれど。
今、本は売れていない。塩野七生が、20年前に 1000部だったのが今では400部になった。6割減と嘆き怒っていた。でも、彼女でもたった1000部だったのか? 「私の書いているのは精神のインフラと言ってもよいたぐいの作品でダイレクトには役立たないので」 とは言っているが。


昨年出版してから、熱心な読者が出てきていて、「次はいつ出ますか」と聞いてくる情況が起こっている。
どう見たって言葉の人間ではないのに、言葉でしか表現できず何とか出した本でも、こういう読者が居てくれるのは感激である。
多分、同じような苦しみを体感している上での注文だろう。だからこう言ってくれる人はやはり、建築家であったり現代美術評論家(大学教授)であったりする。
どうしても一般人ではない。
塩野七生はこれからの出版を二つに分け、一つは売れることから判断する出版と、自分がやっているような、売れるか売れないかなんて気にせず書く出版があるとする。
思うに個人の自由だが僕には、「難しくて判らない」という人にも判って貰いたいと思う以上、凄く易しく書く方法って無いものか、という気持ちもある。
ん?、また書く気なのか?







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