新趣向の開始 Begining of new trial.

本日から、基本的にこのブログを使って、あるストーリーを展開します。
少なくとも今年度は続けてみるつもりです。
脈絡があるかどうか、始めてみないとわからない状態です。
ストーリーは、必ずしも繋がっているというわけにはいかないかも知れません。
関係ない雑記事も、時々入る予定です。
簡単な識別のために、ストーリーはSの連番で、雑記事はARの連番無しとします。
描こうとしていることは、これまでのブログのあちこちに書いてきたことです。
あえての違いといえば、読者を一般人と想定していることです。


I'm trying to create something remain in my mind in this blog, which is not actual work of design or architecture, but is the expression of my inevitable desire about the Japanese society by using simple and easy story telling.
Ordinary people must understand what I want to say by this story, otherwise my intension will be broken.
Anyway, I'll begin it from today.


Sto intendo di creare dell'imagini rimangono a me nel questo blog, anche se none' lavoro di design oppure d' arcitettura attuale, ma e' una espressine inevitabile mia per la societa' Giapponese usando la storia quotidiano e semplice.
Gente generale cosi potra' essere capito qello'che io intendo di dire. Altrimenti, intenzione mia si sara' rotto.
Comunque, iniziero' dal 'oggi.



S1


今度の軽井沢の土地のことではうまくやった、と石岡は内心、にんまりした。
もともと、この土地にかっこいい別荘を建てたいと思って、3、4件の土地を物色し、その不動産業者から建物のプランも見せてもらってきた。
ところがプランや外観がもっと面白いものがあるのではないか、という気がしてきてそれを言うと、この不動産屋は「うちで建てさせてくれれば、建築士を紹介しましょう」という。

石岡は建築に関心を持っているから、これは面白いと話に乗り、建築士の宮間を紹介してもらった。
宮間は現地の物件を見て周り、独自のプランを作り石岡に見せ、どの土地がどういう家に向いているかを説明した。
石岡が気に入って家が出来たのが、去年の6月だった。

しかし石岡は考えていた。
この「仕事」は意外と面白い。不動産屋も設計士もこちらが気に食わぬと言えば、何度でもプランと見積もりを出してくれるようだ。どれも気に食わなければ、一銭も払わなくても設計を楽しめそうだし、途中で知った他業者の紹介による設計事務所に同じ条件を与えたところ、宮間とはまったく違った計画を出してきたなんてことも起こった。
こうして不動産を売買できる資金余力があれば、そのうちの一件を自分のアイデアを入れて実現して、自分が住むだけでなく、それを転売してその付加価値のついた金でまた次の物件でも楽しめ、しかも利益のアップも見込めるじゃないか、と。

そういえば、と石岡は気がついた。
現在の株式仲買人の仕事も、いつまでも続けていく気はない。もともと金融だけで実態の見えない職業は、適性はあるとは思っていたが、そんなに面白いものではない。それに比べれば、土地と建物は実態がある。もっと言うと、労が増えて見入りも現業より小振りだが、自分の企画を盛り込んで設計士に描かせ、それを売る楽しみだ。成功すればリゾート開発も出来そう。

そう考え付いて、夏の2ヶ月住んだ後、この別荘をたまたま遊びに来た、というより意図的に誘い込んでみた商売仲間に吹っかけたところ、買うというので売ってしまったのだ。
その後、凄い不景気が来た。