赤瀬川原平で考える

【情報・論】 review:2015/03/03




赤瀬川原平で考える



老人力」を書いたこの男のことは、「千円札事件」の頃から知っている。
昨夜テレビで紹介番組をやっていて偶然見てしまった。素顔と語り口を見たのは始めて。


自分を忘れっぽく優柔不断な男と決めて、それでいいじゃないかとする立場は、今の僕と随分違う。


それはそれでいいが、結局、やったことはエピキュリアン(享楽主義者)の実践だったんじゃないか。
彼の話には、政治、経済の話は一切出てこない。裁判沙汰を除いて、終生そういうものに関わらなくて済んだ男なのだろうとしか思えない。
反対に、「おねしょ」が中学時代も抜けなかった話、道端の小さな発見、変わったものを求めて街歩きする路上観察グループの話、カメラ気違いの話など個人的な体験から、日常の微細を語るのには十分な時間を取っている。

とてもうらやましく思う。60年安保のころの若者の傍若無人ぶりを知る、いわば同世代的感覚を共有しながら、一方は前衛芸術家は卒業と称して、楽しくやっている。僕はと言えば…比較するのが野暮というものだが…解決したい問題山積み。ここまで来ているのに、政治、経済まで入り込んでしまったために、まとまりがつかない状態。
もちろん、これは自分が選んだ道だから、それを承知で楽しんでいるが、自分の問題だけに終わらないところがつらい。





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