ティンバライズ建築展で考える

【論・情報】



木構造のビルの可能性を追求する人たち


ティンバライズ建築展というのを東京南青山のスパイラルビルでやっている。
ティンバライズとは英語のティンバ―(木材、製材)を使役動詞化した造語で「木造による」という意味。
企画の内海彩さんや、技術指導の腰原幹雄東大准教授の話を聞きながら、木造によるビル設計の可能性を考えた。
確かに当面は超えなければならぬ心理的、経済的ハードルは高いが、技術的にはもう充分可能な所に来たようだ。


まず2000年の建築基準法改正によって、防火、準防火、法22条区域のどこにあっても、耐火建築なら木造でもかまわないということになったのだ。とは言うものの、ここには構造強度と耐火条件が法定基準を満たしていなければならないという難問がある。それに立ち向かったのがティンバライズ建築である。
まず基本的に木材と言っても、数値が安定しない無垢材は相手にせず、すべて集成材での話だ。このための材加工技術の大型化と強度増しが木構造の可能性を高めたようだ。
強度を含めた木造耐火部材の開発で、現状では3つの解決策があるようだ。
全部木材で鉛直力を受け、耐火被覆材や燃え止まり層+燃え代(しろ)に水平力を受け持たせるやりかた、鉄骨に主要構造耐力を受け持たせ、木材で包み込むやりかたである。


だいぶ専門的になってしまったが、問題点は製造運搬を含めた施工単価の高さにある。
話を」聞いていて、鉄筋コンクリートの1.2〜1.5倍くらいは高いようだと推定した。


当面、無理難題が多そうだが、20〜30年後にはごく一般的な工法になっているかも知れない。